演奏録音でも音質、使い勝手ともに満足の口述録音用ICレコーダー
きっかけ
筆者は、スタジオでのリハーサルや自分のライブ演奏の記録のために、ICレコーダーを使っています。
以前使っていたのが、音楽録音に特化した『Roland R-1』。
躯体が大きく、電池の減りが激しいため、ACアダプターを持ち運ばなきゃならなかったことから、次に購入したのは口述録音用のICレコーダー『SANYO ICR-PS004M』。
小さくて、消費電力も少なくACアダプター不要という手軽さと、ステレオ録音ができて意外に音質が良かったため7年ほど使っていましたが、さすがに調子が悪くなってきたので買い替えることにしました。
希望の仕様
- 大きくないこと
- 重くないこと
- PCM録音対応であること
- 1万円以下
- USBジャックが内蔵されていること
- 充電が楽なこと
希望をすべて満たしていたのが『OLYMPUS DM-750』でした。
録音してみる
説明書を読みながら以下のとおり設定し、ステージ正面から約10mの位置にDM-750を置きます。
【録音レベル】“オート”
最も難しく、最も重要なのがこの録音モード設定。
本機に用意された選択肢は以下の5種類。
- 高(講義)
- 中(会議)
- 低(メモ)
- マニュアル
- オート
録音機材といえば通常、ピークメーターで上限に合わせますが、本番中に行うのは不可能なため、“マニュアル”は除外。
“高”は「遠くの音や小さな音」
”中”は「打ち合わせや少人数の会議」
”低”は「口述録音」
いずれも、“人の声”を録ることに特化した分類のため、スピーカーからの大音量には適さないと判断。
残った“オート”に設定してみます。
録られた音量が勝手に変わってしまうのではないかが心配・・・。
【録音モード】“MP3(128kbps)”
演奏予定時間は80分。PCM録音も可能ですが、今回はステレオ録音で最もファイル容量の小さいMP3(128kbps)を選択。
【ローカットフィルタ】“OFF”
ローカットフィルタとは、エアコンの空調音やプロジェクターなどの低周波音を軽減して録音する機能。
静かな場所で話し声の邪魔になる音を消す機能なので、“うるさい音楽”を録る場合には必要ない機能といえます。
【マイク選択】“センターマイクON”
両側に配置されたステレオマイクと、それらに挟まれたセンターマイク。
録音シーン別の設定では、口述録音でもセンターマイクはOFFとなるようです。
説明書からはセンターマイクをONにすべき状況や効果は読み取れませんでした。
今回は、あえてセンターマイクONで録ってみます。
【VCVA】“OFF”
VCVAとは“音声起動録音”。
あらかじめ設定した音声起動レベルよりも大きい音を感知すると自動的に録音を始め、音が小さくなると自動的に録音を一時停止する機能です。
スタジオリハーサルのときなど、会話をはさんだりする状況で演奏を録る場合などには便利かもしれません。
ライブ録音は録りっぱなしなので、OFFにします。
【音声同期録音】“OFF”
あらかじめ設定した検出レベルよりも大きい音を感知すると自動的に録音を始める機能です。
1秒、2秒、3秒、5秒と検出時間を設定できます。
VCVA同様に、こちらもOFF。
【録音シーン】“OFF”
[講義][会議][商談][口述][口述(騒音下)]から選べ、シチュエーション別に録音レベルや録音モード、使用マイクなど最適に組みわせてくれる機能。
どれも当てはまらないので、OFFにします。
環境とジャンル
キャパ50人ほどの小さなライブハウス。
天井は高く、2階席あり。
聴かせ方としては、ドラムに合わせて各楽器の音量バランスを整えている感じです。
ジャンルはコテコテのロック。
出音のボーカルの声は、若干クリアさに欠ける印象。
リハと本番で各楽器のバランスが少し変わっており、本番ではドラムとボーカルが際立って聴こえていました。
録音結果
録音時間は約78分。
ファイル容量は約72MB。
主な録音対象を“声”とし中高音の記録に特化しているのかと思っていましたが、低音もしっかり録れていました。
音量も変わることなく常に一定です。
今回はステージ正面から約10mという、出音を録るには理想的な位置にDM-750を置くことができたからかもしれませんが、出音として聴こえたまま、正確に録れていました。
最後に
音質を追求するとキリがないので、妥協点を探ることになります。
リニアPCM録音を誇る音楽録音専用機種を選ばずとも、PCM録音も選べるDM-750は、音質的にまずまずの満足レベル。
ケーブルを使わずPCにつなぐことができて、PCから直接充電ができるので、すごく楽です。
ボーカルでもなければ、最低でも楽器を持たなきゃならない。
本番であれば衣装、着替えを持ったり。
持ち物が多くなりがちな音楽活動では、機材の大きさ、重さも重要です。
値段、大きさ、重さ、操作性、そして音質に関してDM-750は妥当だと思います。
そして、最後にもう一つ。
この記事は、“自分の演奏を録音する”前提で書いています。
著作権法第九十一条(録音権および録画権)
「実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する」
見に行ったライブを無断で録音することは違法です・・・念のため。